テクノブレイク株式会社の(元)監査役ブログ

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「溶接機の税務上の法定耐用年数について」

 

・導入「会社の備品が壊れ、自分で溶接修理したくなった」

 

会社で使用している用品の金属部分が破損した。

以前よりyoutubeからオススメされる溶接動画をよく見ていたので、自分でも溶接をしてみたくなり溶接機について調べてみた。

会社の備品の修理に使うため、また、その為に支出した金額を即時経費にするため消費税抜きで一式30万円未満のものをターゲットとして調べ始めた。

 

 

 

・疑問「正しい法定耐用年数が知りたくなった」

 

会社の備品として『30万円未満の少額減価償却資産の経理処理』を行う場合は、税務署サイドから減価償却の税務上の法定耐用年数について特に厳しく聞かれないとは思う。しかし、市役所に提出する償却資産税の申告書には正しいと思われる法定耐用年数を報告するという義務がある。それに元々溶接機自体は何年で償却するのかが気になり始めたので、しっかり法定耐用年数を調べようと思った。

 

ここに調べた結果を書くが、一個人の意見であり個々の事例については、所轄の税務署に相談するか顧問の税理士の先生にお聞きすることを強く推奨する。

 

 

 

・判明したこと「いきなり答えが見つかる」

 

まず『溶接機 耐用年数』でwebを検索する。

 

すると上場会社でありアーク溶接機の国内シェアトップを誇る株式会社ダイヘンのホームページには、

www.daihen.co.jp

Q6. 溶接機・切断機の税務上の耐用年数を教えてください

 

製品の使用用途によって異なりますので、詳しくは国税庁の耐用年数表をご確認ください。

以下の3通りのうちいずれかに該当します。

①鉄鋼業用設備 その他の設備 :14年

②金属製品製造業用設備 その他の設備: 10年

③その他製造業用設備: 9年

 

と書いてある。

 

いきなり問題が解決した。ダイヘンが言うのだから間違いを探す方が間違っているだろうし、それはタイヘンな苦労をする。

 

しかし、これで解決してしまっては面白くないので、もう少し違う角度から調べる。

 

 

 

・物足りなさ「そのままでは面白みがない」

 

溶接機に限らず機械装置等は、その業種、設備の種類、使用用途細目によって法廷耐用年数が決定される。

 

つまり全く同じ機械でも、自身が経営している業種、用途により法定耐用年数が変化するのである。

 

e-Gov法令検索の中で「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」を見ると

elaws.e-gov.go.jp

そこには「別表第二 機械及び装置の耐用年数表」というのがある。

 

これは自身が経営している会社の「業種や設備の種類」と「機械の法定耐用年数」を対応させる表である。

 

この条文のままでは非常に見にくいので、判り易くまとめたものが国税庁のホームページにある。『国税庁「耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A」』

www.nta.go.jp

上記で見にくいと思うときは東京都主税局のPDF、こちらがオススメ。

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/hyo02.pdf

 

先に挙げたダイヘンのQ&Aも、これらが基になっている。

 

現在所持している、又はこれから購入しようという機械を、この「別表第二 機械及び装置の耐用年数表」に列挙されている55種類の中から、基本的にはその設備がどの業種用の設備に該当するかにより判定するというのが通常の法定耐用年数の決定プロセスである。

 

では、現在の55種類になる以前「平成20年度税制改正、耐用年数等の見直し前」は何種類あったのかというと、369種類+αである。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/7142/betsuhyo2.pdf

 

どうだろう。この中から溶接機の耐用年数を探してみるのは面白いのではないだろうか?

 

上記の「別表第二 機械及び装置の耐用年数表」は新旧資産区分の対照表になっており、369種類+αをどのようにして55種類まで圧縮したのかが判るものになっている。

 

このPDFをキーボード・ショートカットの「Ctrl+F」でキーワード検索を「溶接」で行うと5ヶ所ヒットする。するとダイヘンQ&Aで答えていたことより、少し範囲が広がって解釈できるのではないだろうか。

 

ダイヘンでは①鉄鋼業用設備(14年)②金属製品製造業用設備(10年)③その他製造業用設備(9年)の3つを挙げている。

 

しかし、上記の検索では新たに④家具又は装備品製造業用設備(11年)を追加できる。

 

さらに、自動車整備業で活躍する移動式スポット溶接機なら⑤自動車修理整備業用(15年)が、また、総合建築業において外注せず、自社内で溶接処理を行う場合は⑥総合工事業用設備(6年)が適用できると個人的には思っている。

 

国税庁の「設備の種類」の具体的判定例のアンサーでも『機械及び装置が別表第二に掲げる設備の種類のいずれに該当するかは、基本的には、法人の業種で判定するのではなく、その設備がどの業種用の設備に該当するかにより判定することとなります。』と言っているので、そうなのだろう。

 

 

 

・結び「ところで溶接機は・・・」

 

さて、最終的にどのアーク溶接機を購入するか迷っていたが、一通り調べたら気が晴れてしまったので、破損した備品を買い直しすることにした。冷静に考えたら、その方が安かったからだ。

 

 

おしまい。

 

 

 

 

 

溶接機の法定耐用年数というニッチな調べ事に、この記事が少しでもお役に立てたのなら光栄です。