20年ほど前に4泊5日で公的な研修所で色んな会社の人たちと研修を行った。
そこで○○引越しセンターみたいな名前の社長さんが来て、講演を行ったが、その内容とはその会社の研修についての話だった。
内容は、ほぼ無人島に2週間、決められた集団行動をさせ、衝撃だったのは最終日は海に向かって「お父さん、お母さん、ありがとう!」と一日中叫ばせるというものだった。
その社長さんは自慢げに「一日中ね、お父さん、お母さん、ありがとうと叫ばせてるとね、段々と本当に感謝の念が出てきて泣き出すんですよ~!そこで素直になるんですね!」と言っていた。
研修に来た人たちは、中小企業の経営者や幹部候補だったので興味深く、好意的に聞いていた。私は、満面の笑みで話をする向こうの世界に行っている社長さんの目を見て心底おそろしかった。
次に6年前のお話し。末っ子が小学校に入学したのを機に妻がパートに行くことに決まった。あるスーパーチェーンに決まり、研修を1週間受けることになった。
研修から帰ってきて、毎晩、話を聞いた。内容は、笑顔でありがとうございますと言いながら、研修にきた総勢約100人とずっと握手をしながら周回するというものがメインだった。
研修が最終日になると、ほとんどの人が泣き出したと言っていた。妻は研修だけ受けて、就職はしなかった。
研修が始まって、2日目くらいで洗脳研修だと気付いて、辞めるのも恐かったから、素直に研修を受けているふりをしていたそうだ。
あのスーパーの異常に良い接客態度や笑顔は、あの研修の賜物なのだと、買い物をしながらいつも思い出す。
世の中には、洗脳研修が多い。国の機関でもあるだろう。統括するのに楽だし、余計なことを考えさせる暇を与えないのも何かと都合がいいのだろう。
この手の研修は無くならないと思うが、気付いた時は早々に退職するか、その時だけ洗脳に掛ったふりをすればいい。
おしまい。